2014年7月15日火曜日

【■■■■■■■■VI世の邪気眼レポ】地獄鉄道666【ヤミネコ】

・2014/6/27, 東京カルチャーカルチャー
3号(HAM)7号(■■■■■■■■IV世)

地獄鉄道666


あなたは目を覚ますと、見知らぬ汽車に乗っていた。

「地獄鉄道666」 

そう、それは「とある罪」を犯して死んだ者達の魂を
地獄へと送り届ける汽車だったのだ。 
車内に仕掛けられた謎を解き明かし 
地獄送りを免れることは出来るのか!?



(注:以下の文章は妄想であり、実際の公演内容とは一切関係ありません。)


 「次は終点、終点です」

 アナウンスの声で目が覚める。 心地よい振動と雑音に導かれ、いつの間にか眠っていたようだ。 仕事の疲れがどっと出たらしい。 終点まで寝過ごすとは、相当キテいる。 

 窓の外を見ると、ちょうど列車が川に差し掛かったところだった。 西陽に照らされ黄金色に輝く水面は幻想的な光景だった。 この光景が見られただけでも、寝過ごした価値があったというものだ。 

 しかし妙だ。 普段なら帰宅のサラリーマンでごった返しているはずの車内に、自分以外誰ひとり見当たらない。 それに、こんなに広い川がこの路線にあっただろうか。

 しばらく経つと岸が完全に視界の向こうへ消え去り、見渡す限り一面の川。 線路は水平線の彼方へ一直線に延びている。 私は夢でも見ているのか? 

「夢ではありません」

 突然の声に飛び上がりそうになりつつ、振り向くと車掌らしき人物が目の前にいた。

「あなたは死んだのです」
「私が、死んだ?」

 激しい目眩が襲ってくる。そうだ、私は確かに、どこかで…。脱出?に失敗し…。 

「この列車は地獄鉄道。死者を地獄へ送り届ける列車でございます」 

 ああ、そうか。そうだった。 私は何度もこれを経験していたではないか。 過去のマーガリン達。志半ばで散っていった愚か者ども。 彼らは皆、この列車に乗って地獄へと旅立っていったのだ。 

 とすると、この広大な川は、噂に聞く三途の川だろうか。 舟でなく列車で死者を運ぶなど、地獄も随分と近代化したものだ。 

「運賃二億円をお支払い頂きます」
 
 三途の川の渡し守でもある車掌が無茶な要求をしてくる。

「二億円?そんな大金持っている訳ないだろう」

 サラリーマンの生涯賃金にも等しい額だ。 川を渡りたくば一生かけて稼いだお金をここで差し出せ、という訳か。 地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものだ。 よしんばそれだけ稼いでいたとしても、この場でぱっと差し出せる者などいるものか。

「ではここで降りて頂きます」

 そう言うと、車掌は私の胸ぐらを掴み、凄い力で私の体を持ち上げた。 車両の窓がすっと開く。

「三途の川では何人も泳ぐことはできません。既に死者であるあなたは死ぬこともできず、永遠にもがき苦しみ続けるのです」

 私の体を外へ放り出そうとしている。

「ま、待て、冗談だ!金ならある」
「では早く出してください」
「ほら、あんたの目の前にあるよ」

 そう言って私は窓の外へ顔を向ける。 一瞬、怪訝な表情になり車掌の力が弱まったところを私は見逃さなかった。

「見渡す限りの黄金がな!」

 YAWARA!を読んでマスターした巴投げの要領で車掌を窓の外へ投げ飛ばす。

「金の亡者め。地獄へ堕ちろ」

 窓の外へ向かって吐き捨てるように呟く。 しかし間一髪、車掌は窓の枠に手をかけて落下を免れていた。 すぐに身軽な動作で列車内に戻ってくる。

「驚きました。この列車に乗った者は力を奪われるはず。あなたは一体…」

 車掌は私との間に距離をおきながら、こちらの隙を窺っている。

「■■■■■■■■。宇宙の謎を解く者さ」

 決まった。完全に決まった。 

「…聞いたことがあります。生きながらにして地獄へ来る者。第八感(エイトセンシズ)に目覚めた人間。あなたが、あの■■■■■■■■でしたか」
「知っているなら話は早い。さっさと彼岸へ案内してもらおうか」
「念のため、お尋ねしておきましょう。彼岸へ渡り、何をなさるつもりですか?」

 戦闘態勢が整ったか、車掌が重心を低く構える。

「しれたこと」

 私は右足を前に半身に立ち、左の拳は頬の横、右の拳は顔の前30cm。典型的なサウスポースタイルに構える。

 「閻魔大王を倒し、この地獄を支配する」 

 その言葉が合図だった。先に仕掛けたのは車掌。鋭い踏み込みから大きな右フックを繰り出す。 かろうじてスウェーバックでかわすも、さらに踏み込み、返しの左フックが襲ってくる!

「この先へ行かせる訳にはいきませんねえ!」
「グッ!」 

 ブロックした右腕がしびれる程の威力に面食らう。一旦下がり、距離をおく。 見た目通りのインファイターだが、踏み込みのスピードとパンチの威力は想像以上だ。 まともに喰らえばひとたまりもない。さらに距離を詰め、キレのあるフックを振り回してくる車掌。 バックステップとダッキングで何とかかわすも、反撃の余裕がない。 

「おやおや、どうしたんですか、マーガリンさん? 逃げてばかりでは私には勝てませんよ」 

 車掌の左フックをかわしながら、私が繰り出したのは左のローキック。相手の軸足の内側を狙う。 続いて放たれた右フックもブロックし、そのまま相手をプッシュしながら今度は外側から右のローキック。 車掌の表情が変わる。遠い間合いから一気に踏み込みパンチを当てにくるが、私はそれをかわし、 再びローキックを叩き込む。 接近戦では車掌のパンチの回転数には敵わないが、蹴りの間合いなら車掌の拳は届かない。 この距離を保ちつつ、パンチをかわしてローキックで相手の足をまずは潰しにかかる。地味だが堅実な作戦だ。 

「なるほど、そういうことですか…しかし、いつまでその集中力が続きますかねえ!」 

 当然、車掌も私の作戦は察知している。さらにパンチの回転数を上げ、一撃KOを狙ってくる。 しかし蹴りに徹した私の作戦に隙はない。スウェーバックとブロッキングを駆使し、パンチの打ち終わりにローキックを放つ。 確実に足にダメージは溜まっている筈だ。 だんだんと車掌の踏み込みが甘くなってゆき、ローキックがますます当たり易くなる。 

「鬱陶しい下段蹴りですねえ…!」 

 とうとう痺れをきらした車掌が、遠い距離から一気に飛びかかってくる。しかし、この瞬間こそが私の本当の狙い。相手の踏み込みに合わせ、こちらも大きく右足を踏み込む。 繰り出したのは左の膝蹴り。テンカオと呼ばれる、組まずに出すカウンターの膝蹴りだ。 右フックをブロックしつつ繰り出したこの膝蹴りが、見事に相手の右脇腹に突き刺さる。 

「がっ……」 

 苦悶の表情を浮かべ、後ずさりした車掌。この機を逃す手はない。 オーソドックスに構え直し、追いかけるように左右のワンツー。 これはブロックされるも、これはフェイントでしかない。 そこから腰を180度回転させつつの、左のレバーブロー。これが再び車掌の肝臓にクリーンヒットし、体がくの字に折れる。 しかしこれすらもフィニッシュブローへの布石。 本命は、さらにそこから体を180度逆にひねりながらの右ローキック。 全盛期のアーネスト・ホーストの試合をテレビで見ながら覚えたオランダ式のコンビネーションだ。

  ついに車掌が崩れ落ちる。文句なしのKOだった。

「まだ続けるか?」
「…私の負けです。彼岸へとご案内しましょう」

 足を引き摺りながらゆっくりと車掌が立ち上がる。

「あなたなら、もしかしたらこの地獄を変えられるかもしれません」

 そう言い残すと、車掌は運転室へと姿を消していった。 



 程なくして広大な三途の川の向こう岸に辿り着き、列車が停止する。 鮮やかだった夕陽は沈み、夜の闇の下、荒涼とした大地が広がっている。 ついに私は地獄の一丁目に降り立ったのだ。

  本当の闘いは、これから始まる---



 (妄想ここまで) 



 強かった。車掌、お前もまた強敵(とも)だった。 


 「地獄鉄道666」に挑むなら、車掌レベルの雑魚はパンチで倒す位の気合いがほしいところですね。 



 という訳で東京工業大学の謎制作団体、Sicks Sphinks(ヤミネコ)によるリアル公演「地獄鉄道666」に参加してきました。 ヤミネコといえば、クオリティの高いWeb謎で度々楽しませて頂いていましたが、 リアル公演に参加するのは今回が初めてです。 リアル公演でどんなものを見せてくれるのか、wktkです!

 いきなり話が逸れますが、少し前に東京大学五月祭で行われた、 東京大学の謎制作団体 AnotherVisionの「ある試験からの脱出~単位・イズ・ノット・イナフ~」にも 参加させて頂いたのですが、これがもの凄く完成度の高い公演で、 失礼ながらこれが学生団体ってレベルかよ!と驚きました。ほんとにカンパ制でいいの?っていう。 (ちなみにマッゾ達のチームの「ある試験からの脱出」レポは こちらを参照。) そんな訳で、同じく有名学生団体であるヤミネコさんの公演にも期待が高まります。

 会場はお台場の東京カルチャーカルチャー。 一回ポッキリの公演(この後再演が発表されましたが)となると 謎クラスタの人達が集結するのではと思っていましたが、案の定、私達のチームのメンバーも謎解き慣れした方々で、 後で分かったことですがよくTLでお見掛けする方ばかりでした。 おそらく他のチームも多かれ少なかれ、謎クラスタの人が中心だったのでは。 これは自分は何もせずともいつの間にか謎が解かれているパターンだな、と大船に乗った気でいると、 チームメンバーの方がHAMに気付かれたため、余りうかつなことは出来なくなってしまいました笑

 無策師さんの味のある司会で始まった地獄鉄道666、その名の通り謎解きの中身も中々の地獄でした。 謎解きの分量自体もさることながら、明らかに○○殺しの問題を大量に仕込んでいます。さすがヤミネコ…!! 今回私はゲーム中ほとんど□□問題をやっていた気がしますが、 気付いたら他の問題はメンバーの方が解いて下さっていました。うーん、強い!

 といった感じで各メンバーが得意分野を分担する形で謎を解き進めてゆき、 最後はチームメンバーの方の決定的な閃きもあり、見事、地獄鉄道から生還しました! 後半から最後に至る流れは圧巻の一言で、解説時には感嘆の声と拍手が巻き起こっていました。 全体的な難易度としては、この6人一組のチーム戦形式のものでは、ここ最近で最も難しかったかもしれません。 ただ難度の割に成功チームが多かった(5チームぐらいだったかな?)のはやっぱりクラスタ率の高さに起因するものでしょう。


 さて、AnotherVisionの「ある試験からの脱出~単位・イズ・ノット・イナフ~」(単位INE)、 ヤミネコの「地獄鉄道666」と学生団体さんの公演に続けて参加させて頂きましたが、 いずれも6人1チームの紙もの形式の謎解きとしては最高クラスの、素晴らしいクオリティでした。 どちらも分量は多めで、基本的にはクラスタ向けの難易度設定かなという気がします。 あえて比較するなら、単位INEは実に王道の謎解きで、広く誰でも楽しめるようまとまっている感じ。 地獄鉄道はもう少し尖っているというか、多少人を選ぶ面はあると思います。もちろん個人的には大ヒットでした。 特にDashtzersはこういうの相性がよさそうです。ゴタクが鼻についてきましたが、まあとにかくすごーく楽しかった!ということです。


 そういえば、別チームでしたが会場でLiverBlowのN男さん、Kosukeさんとお会いしたので、 公演終了後「脱出即解散」のDashtzersと「脱出徹夜飲み」のLiverBlowさんの飲み会が開かれました。(私は所用のためすぐに帰ってしまいました。すみません。今度はちゃんと参加させてください!)


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